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期待値は高かったが・・・ ロータス79 モデルグラフィックスの特集記事

 今月のモデルグラフィックス8月号はタミヤとハセガワのロータス79特集。
編集者あさのまさひこ氏は以前から、ロータス79の1/20キットを渇望していることを繰り返し公言してきた。そのあさの氏が自ら手がけた特集はどんな内容か。大きな期待を抱きつつ手に取った。



Model Graphix (モデルグラフィックス) 2010年 08月号 [雑誌]Model Graphix (モデルグラフィックス) 2010年 08月号 [雑誌]
(2010/06/25)
不明

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  主なトピックは
①タミヤとハセガワの製作記
②タミヤキットを使った工程ガイド
③タミヤとハセガワのキット徹底比較
④タミヤ1/20 ロータス78の製作記
⑤小倉茂徳氏による実車解説と、「F1チームと模型会社との関係、今昔」についてのエッセイ
⑥タミヤとハセガワの開発者インタビュー

 それぞれの記事はあさの氏らしい手堅さでまとめられ、作例、小倉氏の解説とも完成度は高い。インタビューも、やや強引にストーリーをつくろうとするいつものあさの氏のスタイルだが、漫然と質問し、語り手の言い分を機械的に連ねていくだけの記事よりも遙かに好ましいことは間違いない。

 だが、構成的にはほぼ予想通り、というか、驚きのない特集だったことは否めない。「ここまでやるか!」というあさの氏の一世一代の狂いっぷりは感じられず、「あさの氏だったらこういう構成になるだろうな」という予想をよい意味で裏切ったとは言い難い。
 プラスアルファーの車種も「ロータス78はやるだろうな」と当方は予想していたから、そこで止まってしまったのは正直残念だ。

 唯一、作り手のキレ味を感じたのは表紙。ロータス79のマーキングに使われた色を忠実に再現して雑誌のロゴに用いることで「本来クリーム色のロゴが、黒地の上に置かれることで金色に見える」という視覚のマジックを、表紙上で見事に再現してみせた。いかにもあさの氏らしいトリッキーさだった。

 今回の特集に一番欠けていたのは、若い読者層に「ロータス79ってかっこいい! 作ってみよう」と思わせるための仕掛けだったと思う。

あさの氏はインタビューの前ふりで、「ロータス79が当時キット化されなかったことが、なぜ自分たちの世代にとってトラウマになったか」という事情については詳細に語っている。だが、最も肝心な「ロータス79の実車はなぜ、そんなにまで輝かしい存在だったか」ということについては、ほとんど触れていない。

 78年のレースシーンがどんなものであったか。どんなにすごいドライバーやチームがいたか。その中で79はどんな圧倒的な活躍をしたか。二人のドライバー、アンドレッティとピーターソンがどんなに個性的なキャラクターだったか。ピーターソンの悲劇的な最期はどのようなものだったのか。
 
 私が編集者だったら、こうしたことをイラスト、マンガを盛り込みつつ、分かりやすく説明するコーナーを必ず設けていたと思う。
 要するに「ロータス79をキャラ立ちさせてやる」ということだ。男の子がプラモをつくるには、やはりストーリーが必要なのである。

 ロータス79の伝説を共有している人だけにメッセージを送るのでは、極論すれば同人誌のノリとさして変わらない。一般書店の店頭に並ぶメジャー雑誌の巻頭特集には「門外漢を呼び寄せ、パイを拡大させるための仕掛け」が常に必要なのだ。


 もうひとつ、モデル製作上の実用性という面で不満なのが、実車資料がないことだ。実車の取材写真を掲載するのは版権上の問題などで困難なのかもしれないが、ならば最低限、入手しやすい資料のリストとその使用価値について簡単なコメントを付するべきだった。
また、各GPごとの仕様の違いにも言及して欲しかった。特集の記事中で「各GPの細かな違いを再現するのは今やF1考古学」としているぐらいなのだから。

 もしかしたらすでに「クローズアップ&ヒストリー ロータス79」の製作が既に進んでいて、こうした情報の出し惜しみをしたのかもしれない。(こういう楽観的な夢想も悪くはない)。あさの氏には是非、前記書籍の企画・出版を主導し、リベンジを果たしていただきたいものだ。


 あー、あと最後にメーカーに向けてオレの魂の叫び。「1/12でロータス79、出してくれえっ!!!」。
オレにとってのF-1は1/12。あの圧倒的な存在感こそが、魅力のすべてなのである。

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